安保関連三文書の閣議決定に抗議・反対します
***************************
私たち「教会と政治フォーラム」の世話人一同は、日本政府が日本国憲法に従って軍事力に依存しない平和構築をめざし、市民が平和に生きる権利と世界の平和に貢献することを切に求めます。ゆえに以下の理由から、2022年12月16日に閣議で決定された「安保関連三文書」および、防衛費をGDP比2%に倍増する軍事大国化と軍拡増税に反対します。
1. 政府は、日本国憲法による国民の負託を無視している
昨年12月16日の閣議決定は、臨時国会の閉会後、通常国会開会前を狙うかのようでした。首相は、2021年12月6日の臨時国会での所信表明演説で「新たな国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛力整備計画を、概ね1年かけて、策定する」と宣言をしておきながら、国会審議が始まる前の2022年1月7日の「日米安全保障委員会2+2」で「共同宣言」を行い、これを既定路線として、国会ではまともな論議を行わずに、同年5月23日に「日米首脳共同声明」を行いました。また同年の「臨時国会」でも「あらゆる選択肢を排除せず現実的に検討する」と語るのみで具体的な説明はせず、国会閉会後の11月25日に、与野党協議で初めて政府案を説明しました。政府の「有識者会議」の、わずか4回の会議のお墨付きにより、政府が重大方針を決定したことは、国会軽視であり、説明すら不必要とする驚くべき態度でした。今年1月23日の第211回通常国会の施政方針演説で、「昨年末、一年を超える時間を掛けて議論し、検討を進め、新たな国家安全保障戦略などを策定致しました」と語ったのは事実に反しています。
2. 政府は、憲法の原則の変更を閣議で決定している
日本国憲法前文に明記された外交の原則は「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」であり、「信頼関係」を基調とする外交に基礎を置くべきです。ところが、「外交・安全保障双方の大幅な強化」と言って、武力を背景とする威嚇を外交の前提とすることは、憲法の原則の大転換です。「戦力不保持」の日本国憲法9条は、「国防」のための軍事的公共性を前提としていません。自衛隊が、スタンドオフ機能を持つ長射程ミサイル、長距離戦略爆撃機、攻撃型空母を保持することが許されないことは、歴代政権によって確認されています。1988年4月6日参議院予算委員会での瓦力防衛庁長官の答弁では「個々の兵器のうちでも、性能上専ら相手国の国土の壊滅的破滅のためにのみ用いられるいわゆる攻撃的兵器を保有することは、これにより直ちに自衛のための必要最小限度の範囲を超えることとなるから、いかなる場合にも許されず、したがって、例えばICBM,長距離核戦略爆撃機・・・長距離戦略爆撃機、あるいは攻撃型空母を自衛隊が保持することは許されず、このことは累次申し上げてきているとおりであります」と明言しています。
しかし、首相は今年1月23日の第211回通常国会の施政方針演説において、「今回の決断は、日本の安全保障政策の大転換ですが、憲法、国際法の範囲内で行うものであり、非核三原則や専守防衛の堅持、平和国家としての我が国としての歩みを、いささかも変えるものではないということを改めて明確に申し上げたいと思います」と語りました。これは明らかな矛盾であり詭弁です。
3. 政府は、軍事的威嚇により戦争を誘発しようとしている
軍拡は、日本を戦争の当事国とし、自らの首を絞める危険な行為です。「剣を取るものは剣で滅びる」(新約聖書マタイの福音書26章5節)の聖書の言葉の通り、戦争回避は軍拡によってではなく、軍縮によってなされます。
2023年3月1日
教会と政治フォーラム